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筆者 深井克純(ふかい・かつよし) 前2004年SO冬季ナショナルゲーム事務局長 (中野市西町出身) |
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全ての人々が応援者になり拍手を 五輪の経験も役に立たないときがある |
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二○○五年「スペシャルオリンピックス(SO)・イヤー」が開幕した。夏季五輪と冬季五輪の中間年、夏・冬交互に開催されるSO世界大会は、今年の世界最大級の「国際総合スポーツ大会」となる。長野にとって九八年冬季五輪・パラリンピック以来、七年ぶりの総合世界大会だ。 開会式に先立ち「ホストタウン・プログラム」に参加するため選手が各地域に集結する。三○余日を残すのみだ。現在、アメリカ選手団長が山ノ内町(ホストタウン・プログラムで、米国アルペン選手団六○名強が滞在)を含め、受け入れ地域を事前調査している。正に臨戦態勢に入った。 SO世界大会まで残された二回の連載で、参加選手(アスリート)の立場に配慮しつつ、プレ大会の経験から留意点について述べる。 【疲れて長野入り】 例えばロシア選手団。あの広い国土の各地域から、まずモスクワに集まる。交通の便にもよるが、首都に集結するだけでも二日も三日もかかる所がある。モスクワで慌しく結団式を済ませ、慣れないマスコミ取材に応じ、日本行きの飛行機に搭乗する。 SOアスリートは五輪選手のように潤沢な資金に支えられているわけではない。恵まれた環境の中でスポーツに挑戦する人々でもない。自らの知的発達障害を乗り越えるのと同じく、恵まれない環境的ハンディをはねのけて長野にやって来る。 例えば航空チケット。時間がかかっても、最も安価なルートを選択する場合が多い。値段の高い最短ルートを自由に選べる恵まれた選手団は数少ない。派遣費用がまかなえず、参加登録をキャンセルするケースもある。 知的発達障害のあるアスリートが、かくも長い時間、狭い座席に座って移動する「精神的・肉体的疲労」がいかばかりのものか。容易に想像できよう。SO世界大会に出場するアスリートは、極限の疲労に耐えて長野入りしてくる。この点を忘れてはならない。 【選手第一主義】 SO世界大会の場合、「イベント性」を強調し過ぎることは正しくない。イベントとしての特性が強ければ、時間に正確で全てオン・タイムの進行が絶対だ。特例や例外を認めない厳粛な対応が前提となる。五輪こそ、この代表的世界大会といえるだろう。 しかし、SOとは人間性を基本とした精神性高いムーブメント(運動)としての性格が強い。全ての面で人間的「やさしさ」が求められる。 日常的にスポーツに挑戦する知的発達障害のあるアスリートの世界的発表の場を用意する。これが今回のSO世界大会だ。多くの人々に競技会場へ足を運んで欲しい。その「がんばる勇気」に大きな声援をお願いしたい。五輪では認められるはずもないが、SOでは競技役員・スタッフ・ボランティア全ての人々に、業務のかたわら「応援者」として拍手を送ってもらいたいのだ。 激励されることで、アスリートのパーフォーマンスは何段階もアップするに違いない。「選手第一主義」の温かい応援が成功の秘訣である。 【臨機応変の対応】 昨年二月のプレ大会のアルペン競技会場。通常では見ることのできない光景が展開した。選手がスタートコールしてもスタートゲートを切らない。周りが大きな声で促しても動かない。国際競技連盟ルールに従う以上、身体を後ろから押すわけにもいかない。過去に北信地域は、数えることができないほど多くの全国大会・国際大会を開催してきた。しかし、選手がスタートしない競技会を開いたのは初めてだろう。 SO世界大会の場合、何が起るか事前に予測することは困難だ。最も大切なポイントは、想定できないことが起っても焦らず冷静に、「臨機応変に」対応することだ。この点、「競争性」が全面にでる五輪・パラリンピックの経験は役立たない。
最も拍手を多く受けるべきアスリートは誰か?何度も転倒しながら、やっとゴールにたどりつくアスリートである。これこそSOだ。 |
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| (北信タイムス2005年1月21日) | ||||
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